お金のこと/旅の家計術

年100万円を旅に使う、わが家の家計術|
貯蓄が10倍になった4つの仕組み

2026-07-26

結婚して数年、夫婦で貯められたお金は、正直ごくわずかでした。

そんなわが家が今、旅行にしっかりお金を使うために、家計を設計しています。年100万円。これがわが家の旅の予算です。

ちなみにこれは下限です。サッカーW杯観戦のような特別な年は、200万円まで予算を増やすこともあります。

私は銀行で11年、ご家庭のお金の相談に向き合ってきたFPです。でも最初に言ってしまうと——わが家も、結婚当初はぜんぜん貯まらない家計でした

この記事では、そのわが家が変わった仕組みを、ぜんぶ書きます。

1. まず結論:わが家の家計は、この4ステップで回っている

  1. 見える化——家計の口座をアプリに紐づけて、夫婦どちらからも見える状態に
  2. 見直し——削れないものは何か、削れるものは何かを洗い出す
  3. 振り返り——予算を超えたら、翌月や他の費目で調整する
  4. 話し合い——お金の話を、夫婦の日常会話にする

道具も才能もいりません。順番に説明します。

わが家の家計を回す4ステップ:見える化→見直し→振り返り→話し合い

2. 結婚当初のわが家:「残りを貯金に回す」は貯まらない

結婚した当初、わが家の家計は「給与の割合に応じて、決めた額を家計に入れる。そのうち生活費等を差し引いて残った額を、毎月貯蓄用口座に入れる」方式でした。

残りはそれぞれの自由。お互い「まぁ、ある程度は貯金してるだろう」という憶測で進んでいました。

結果——見直しをするまでの間に、2人で貯められたお金はごくわずか。夫にいくらぐらい個人の貯蓄があるか確認したときには「あ、意外と使っちゃってる……」でした(笑)。

「貯めれる分だけ貯める」や「貯めているだろう」は、貯まらない。これが最初の気づきでした。

3. 【見える化】お小遣い以外は、ぜんぶ家計へ

転機は、私の育休でした。収入が変わるタイミングで、家計を根本から見直すことに。

やったことはシンプルです。

  • 各自の口座に残すのは、個人の固定費(奨学金・保険料など)とお小遣いだけ
  • 残りは全額、家計の口座へ自動入金
  • 家計の口座は、さらに支払用・貯蓄用・証券口座の3つに分ける
  • 個人口座以外はすべて家計管理アプリに紐づけて見える化

家計の口座の中身は、使うタイミングでこう分けています。

口座用途
支払用口座日々の生活費・固定費(電気・水道・食費など)
貯蓄用口座近い将来に使うお金(旅費・家電の修繕費など)
証券口座10年以上先に必要なお金(教育資金・老後資金など)

家計口座の中は3つに分ける:支払用・貯蓄用・証券口座、それぞれ家計簿アプリでまとめて見える化

この3つを、個人口座以外まとめて家計簿アプリに紐づけています。

ポイントは「見える化」です。

夫婦のどちらかだけが家計を握るのではなく、2人とも、いつでも残高と収支が見える。これが想像以上に効きました。数字が見えると、貯まっていくのが楽しくなる。見える化は、夫婦の貯蓄モチベーションを作る装置でした。

4. 【見直し】削らないものを先に決める。わが家は「旅行」と「食費」

見直しにあたって、夫婦でライフプランを立てて、シミュレーションもしました。まずは将来いつ・何に・いくら用意する必要があるのかを明確化。必要資金を確保するために、毎月最低いくら貯蓄する必要があるのかを計算しました。

どこにお金がかかっているのか。どこが削れるのか。そして——どこは削りたくないのか

話し合って共通認識になったのが、これです。

分類中身
削らない(優先順位が高い)旅行・食費
最適化した保険・通信費
削ると決めた目的のない外食・服飾費

貯金の話になると「何を削るか」という節約の話から始めがちですが、わが家は逆でした。「削らないもの」を先に夫婦で決める。そして、その「削らないもの(譲れないもの)」の予算を確保するために、優先度が低い支出は何かを夫婦で話し合って決める——これがわが家のやり方です。

具体的には、こんな感じです。

  • 服飾費:ブランド物は買いません。本当に必要になったときだけ購入し、基本は同じ服をローテーション
  • 外食費:お出かけ先がお弁当を持って行ける場所なら、レストランではなくピクニック。外食は最小限にして、特別な日はスーパーでちょっと良いお肉やお魚を買います

「我慢」というより、お金をかける場所を先に決めているだけ。だから節約している感覚があまりありません。

整理したうえで各費目の予算を決め、超えた月は翌月調整するか、他の費目で吸収できないか見直す。この繰り返しです。

5. 旅行の中でも、メリハリをつける

年間の予算だけでなく、1回の旅行の中でも、お金をかける場所とかけない場所を決めています。

独身時代に20カ国以上旅した経験から、自分がどんな時に旅の満足度が上がるかが、なんとなく分かるようになりました。

  • アクティブに動きたい旅:ホテルは価格を抑えて利便性重視。その分、アクティビティにお金をかける
  • のんびりしたい旅:宿にお金をかける代わりに、移動費を抑えられる場所を選ぶ

旅行全体の予算を決めたら、その中でも「今回はどこにお金をかけるか」を判断する。年単位でも、1回の旅行単位でも、考え方は同じです。

6. 【結果】4年で、貯蓄は10倍以上になった

この仕組みにしてから、わが家の貯蓄は、10倍以上になりました。

※資産には投資信託・株式も含むため、評価額は変動します。ただし、いざという時のお金として生活費の6ヶ月分の現金は別途確保しているので、相場の変動を受けても家計に致命的なダメージはありません。

数字そのものより伝えたいのは、特別な収入があったわけではないということ。変えたのは仕組みだけ。①見える化 ②見直し ③振り返り ④話し合い——この4つを回しただけです。

見える化したことと、ライフプランを話し合ったこと。この2つで夫婦の価値観が共有でき、日常の会話に家計の話が自然と増えました。2人で貯めることを、楽しめるようになった。これが一番の変化だったと思います。

(ちなみに食費は、今もわが家の課題です。ここは正直に)

7. 【番外編】夫も自分も「欺く」設計——見えない金庫

ひとつ、わが家ならではの仕組みを白状します。

さっき書いた「生活費6ヶ月分の現金」は、家計簿アプリからは見えないようにしています。夫からも、私からも、です。

理由があります。以前、夫が家電や車を買うときに、横に避けていたこのお金をあてにしてしまったことがあるんです。悪気はない。「あそこにあるし」と思えてしまうのが人間なんです。

だから、見えなくしました。

見えないものは、使えない。

自分たちの意志力を信用しない。仕組みで守る。FPっぽくない言い方をすると、「夫も自分も欺く」設計です(笑)。

ちなみにこの生活防衛資金、わが家では、サイレント貯金と呼んでいます。

8. 原点は、私の独身時代の失敗

実はこの「見えなくする」仕組み、私の独身時代の教訓から来ています。

社会人3年目まで、私は好き放題使っていました。旅費はボーナスをあてにした、いわば自転車操業。気づけば、お金がぜんぜん貯まっていない。

変わったのは2018年、先取り貯金を始めてからです。給料が入ったら、先に定期預金2万円+つみたてNISA44,444円が自動で振り替わるようにして、残った分だけでやりくりする。当時の手取りではカツカツでしたが——ここで初めて、貯まることの楽しさを覚えました。

「ないものは使えない」状態に、自分を追い込む。意志の強さではなく、仕組み。これは私の肌感ですが、銀行の窓口でお会いしてきたお客様にも共通していて、お金が貯まっている現役世代の方の多くは、貯蓄用のお金を別口座に分けています(たまに普通預金だけでコツコツ貯めて、しっかり資産を築いている方にお会いすると、「強者だな〜」と思っていました)。

9. 投資は「時間を味方につける」——体験してわかったこと

新入社員の頃から積み立ててきたお金が、時間をかけて雪だるま式に育ってくれました。長期の積立の力を、理論だけでなく自分の資産で体現できたこと。これが、夫婦になってからの貯蓄と資産形成のモチベーションの要になっています。

※投資は元本割れのリスクがあります。この記事は特定の金融商品を推奨するものではなく、投資の判断はご自身の責任でお願いします。

10. 「教育費・老後が心配で、旅にお金を使えない」というママへ

家計相談をしていると、よく聞く不安です。

私からの答えはシンプルで、まず「何年後に、いくら必要か」を知ることから始める、です。

老後の生活費は、老後どんな暮らしをしたいかによって変わります。だから必要な金額も、人によって違う。不安を完全に消すことはできません。でも、ある程度の見通しを立てることはできます。

見通しが立てば、「今、旅行にいくら使っても大丈夫か」も見えてきます。漠然とした不安のまま節約するのと、見通しを立てた上で使うのとでは、同じ支出でも気持ちがまったく違うと思います。

11. FPママの結論:「何にお金を使うと幸せか」を、夫婦で決める

相談の現場でよく見かけるのが、2つのタイプです。①行き当たりばったりにお金を使ってしまう家庭(かつての私のように)。②将来への漠然とした不安から、とにかく節約・貯蓄する家庭(何にいくら必要か明確にせず、とにかく削って貯める)。

誤解してほしくないのですが、「旅行にお金を使いましょう」と言いたいわけではありません。マイホームが好きな家庭も、服やブランドが好きな家庭もある。何にお金を使うと家族の幸福度が上がるかは、家庭によって違います(ちなみにわが家はマイホームではなく賃貸派です。これはまた別の記事で書きます)。

大事なのは、その「幸せの軸」にお金を使うために、他をどう整理するか。わが家の軸は旅行と食費でした。それ以外の家庭は、軸が違うだけです。

節約とメリハリ家計の違いも、ここにあると思っています。節約は「削ること」が目的になりがちですが、メリハリ家計は、「何のために」が先にある削り方です。

何にお金を使うと幸せか、夫婦で決める。旅行・食・住まい・服など家庭ごとに軸は違う。行き当たりばったりでも、とにかく節約でもなく、大切なものに使ってそれ以外を整える

今日からできる最初の一歩をひとつだけ挙げるなら——毎月、何にいくら使っているかを把握すること。家計簿アプリなら、ある程度自動で振り分けてくれるので、手間もかかりません。まずはそこからです。

旅行は、非日常を味わえるから。計画を立てる段階からワクワクして、現地では新しい発見や経験がある。帰ってきてからも、写真を見返して思い出に浸れる。私にとっては、それが日々の活力になっています。わが家にとっての「幸せの軸」が、旅行だった——それだけの話です。

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📝 この記事を書いた人:2児を育てるFPママ「さきっぷママ」。FPとして、銀行で11年、ご家庭のお金の相談に向き合ってきました。